お譲り頂いた加藤卓男のぐい呑みなど

  • 加藤卓男 ラスター彩ぐい呑
買取した品
作家物陶磁器 花瓶 壷 皿 ぐい呑 盃 茶碗
買取方法出張買取
お住まい埼玉県さいたま市
買取参考価格1,400,000円

※買い取り価格は当日の価格であり、その価格を保証するものではありませんので予め御了承下さい。
※状態や付属品の有無、買い取り方法などによって価格が変動いたします。

スタッフからのコメント

 亡くなられた旦那様が集めていた陶磁器の買取依頼を頂きました。30年以上かけて少しづつ買い集め気が付けばその数100点以上、東日本大震災以前は壷やお皿、花瓶など玄関、居間、寝室など所狭しと家中に飾って楽しまれていたそうです。写真は震災の後も実用されたり、眺めてらしたと言う人間国宝(国指定重要無形文化財 「三彩」保持者認定)加藤卓男のぐい呑。

加藤卓男 ラスター彩ぐい呑

加藤卓男 ラスター彩人物文酒杯

 ラスター彩とは陶器製造技術の1種で、黄金を施したような装飾、深い緑や黄色などの深淵なきらめき、精密な装飾が魅力です。9世紀のメソポタミアで誕生後、西アジア全域に広まり、この地域を代表する芸術品となったラスター彩。12世紀に入ると、主に現イラン高原中心部で製造され、やがてさまざまな帝国で作り続けられていたのですが、18世紀頃に突然姿を消してしまったという不思議な歴史を持っています。

 ラスター彩などペルシャ陶器で使われる粘土は、日本・中国でつくられる陶器のものとは質が異なり、釉薬も東アジアの伝統的陶芸では用いられない成分が含まれています。また、一度に大量の陶器を焼成することも多い日本の窯とは異なり、ラスター彩の窯は一度に数個しか入らない小さいものが使用され比較的低温で焼成する等、異なる点が多くあります。そのため、日本でつくられる陶磁器とは違う独特の風合いが特徴です。

 陶芸家・加藤卓男は、自分が制作してきた美濃焼とは対照的ともいえる斬新な色彩とフォルムをもつペルシャ陶器、その中でもラスター彩の美しさに心惹かれました。そして、当時失われていたラスター彩の再現に成功したのです。長年の発掘・研究の末“幻の名陶ラスター彩”の復元に成功したことは世界的にも高い評価を受けました。また陶芸家として、ペルシア陶器の技法と美濃焼の個性を組み合わせた独創的な作品も後に多く手掛けています。

 加藤は代々続く岐阜県多治見市の窯元6代目として1917年に生まれました。1961年、44歳の時にフィンランド工芸美術学校に留学、続いて1973年にもイラン・パーレヴィ王立大学付属アジア研究所に留学するなどペルシャ陶器の研究・発掘調査を行いました。1980年には長年の研究成果が認められ、宮内庁正倉院より正倉院三彩の復元制作を委嘱されます。そして、およそ9年の歳月をかけて「三彩鼓胴」「二彩鉢」の2つの作品を納めました。これらの功績が認められ、1983年には岐阜県重要無形文化財として認定されます。その3年後、1986年にトルコ・トプカプ宮殿美術館にて開催した個展「加藤卓男陶芸展」は国内外で大変話題を呼びました。そして1988年には、学術や芸術など文化的に大きな業績を残した人物に表彰される紫綬褒章を受賞。さらに1991年、その年の最も優秀な焼物を制作した作家に贈られる日本陶磁協会賞金賞を受賞し、翌年に伊勢神宮式年遷宮御神宝「陶猿頭形御硯」を制作します。

 晩年には、国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)にも認定され、岐阜県名誉県民の称号を受けました。陶芸制作の他に、執筆業も多く手掛け、「美濃の陶華」(淡交社1983年)、「砂漠が誘う:ラスター彩遊記」(日経BPマーケティング2002年)などの著書があります。今回の加藤卓男の酒杯(ぐい吞み)は、ラスター彩の魅力と日本美の組み合わせが魅力的な作品です。神秘的で素朴、ユーモアを感じさせる作品は遊び心も感じますね。

お声掛け頂きありがとう御座いました!


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