本好きや美術好きにはたまらない「角川武蔵野ミュージアム」
以前、知人から話を聞いていた角川武蔵野ミュージアム。ネットでも度々取り上げられており、ぜひ訪れてみたいと感じていた施設の1つです。今回は念願叶って訪れることができました。
角川武蔵野ミュージアムとは?
角川武蔵野ミュージアムは“これまでになかったミュージアムをつくる”というコンセプトのもと誕生した図書館・美術館・博物館が融合した文化複合施設です。2020年に誕生したばかりの比較的新しい施設といえるでしょう。さまざまな文化を取り上げ、発信する場所として近年話題となっています。
一目で分かる特徴的な建物
最寄り駅の東所沢駅から10分程歩くと角川武蔵野ミュージアムの特徴的な建物がみえてきます。閑静な住宅街や広い公園に囲まれた伸び伸びとした気持ちの良い立地にありました。
建物近くには、日本を代表するアーティスト奈良美智さんの作品がありました。水をたたえた空間にある大きなサイズの作品です。
ミュージアム・コレクションたち
1Fでまず出会ったのはカラ・ウォーカーさんの作品。壁面につくられた作品です。一見するとお洒落な壁画ですが、女性が暴力を振るわれているように見受けられます。彼女は黒人の奴隷問題などを影絵的な手法で採り上げている作家さんのようです。SDGsなどが取り沙汰される中、今後も注目される方なのではないでしょうか。
デジタルカウンターのアート作品で有名な宮島達男さんの作品。さまざま映し出される数字はプログラミングによって自動生成されているそう。次々と現れる無機質な数字たちは、かえって想像力を膨らませる手助けをしてくれます。
日本が誇るラノベが集結「マンガ・ラノベ図書館」
角川の誇る人気ジャンルの本といえばライト・ノベル。若い世代を中心に人気の読み物です。そのライト・ノベルに特化した図書館のようですが、実はこのジャンルの本を読んだことがありません。
驚くほど圧倒的な蔵書数は人々を惹きつける魅力があるのでしょう。館内には人工知能を使ったゲームも設置され、中高生と思われる子どもたちが楽しく遊んでいました。
独自の視点を活かしたドイツ人アーティスト、ウラ・フォン・ブランデンブルクさん
今回嬉しかったのは、興味深い作家さんを見つけることができたこと。それがウラ・フォン・ブランデンブルクさんです。こちらでは<劇場>という作品が設置されていました。
劇場の客席側を舞台に立つ側から眺めている構図の壁画です。劇場は私達にとって特別に珍しい場所では無く、その気になれば行ける場所なのだけれど、自分がこの先恐らく見ることのない舞台に立った側の視点、というのは何か感慨深いものがあります。この方は舞台芸術を学んだ経歴があるそうで、作品にもその独自の感覚が活かされています。
圧巻のスペース!「エディットタウン ブックストリート」
4Fにある多数の本が陳列されているスペースは、このミュージアムが誇る唯一無二の空間です。25000冊の本が50mの通りに配架されています。
あらゆる分野の本が所狭しと並べられ、時間を忘れてしまいそうです。私自身読書が趣味なので暇を見つけては読んでいるのですが「この本、とても良いのだけどあまり知られていないかも。」という本が最前列や目立つところにさりげなく置かれ、感動したことが何度もありました。
本と本の間にさりげなく映像のアート作品が設置されています。写真に収めるのを忘れてしまったのですが、私の好きな田名網敬一さんの短編アニメーションも鑑賞することが出来ました。
「創造する工学」や「常民と遊民」、「城と天下と武士道」などユニークにジャンル分けされた本たちは鑑賞者の想像力を刺激してくれるようです。
壮大な時間と日常の一瞬
EDIT&ART Galleryでは現代美術作家のさわひらきさんの作品が展示されていました。とても素晴らしい作品で、この作品が創り出す空間は心地良く感じました。時計や波打ち際、電灯など日常の何気ない映像を写した巨大な映像たち。大きな時間の流れを感じながらも、二度とない貴重な一瞬を思わせるような、不思議な作品でした。時間が許すのであれば、座ってゆっくり鑑賞したかったですね。
企画展「魚っとこ水族館~所沢はむかし海だった!?」
荒俣宏さん監修の展覧会です。荒俣さんの著書は何冊か拝読していたので、少し不思議な荒俣さんワールドを楽しめるとワクワクしていました。入口には早速「いきものめがね」という道具。魚や貝などさまざまな生き物の視界を体験できるものだそうです。写真にあるのは魚の目から見た周囲の景色。
こんな風に見えるのですね!
荒俣さんの標本コレクションも展示されていました。貴重なものから、摩訶不思議なものまで時間を忘れて見入ってしまいます。16世紀頃に流行った実際の生き物を加工して空想上の生き物を作る「にせもの標本」もありました。
素晴らしい博物画を描くエルンスト・ヘッケルさんの手掛けた生物のスケッチも展示されていました。以前から博物画に興味があり、印刷物ではありますが私も何枚か所有しています。彼のスケッチは素晴らしく1900年代初頭に流行した芸術運動アール・ヌーヴォーへも影響を与えたのだとか。描き手の生き物への興味と執念が、本人が意図せずとも他者を惹きつけるものになったのですね。
角川武蔵野ミュージアムを訪れて
圧巻の蔵書コレクションは、本好きであれば一日中楽しめる場所です。現代アートの企画が行われていたり、アニメーション関連の企画にも力を入れているので若い世代の来館者が多かったように感じました。海外から足を運んだと思われる方も多かったので、日本ならではの観光地としても人気のようですね。
今回は駆け足での訪問になりましたが、次回はゆっくり足を運び、色々な本を眺めてみたいと感じました。小学生くらいのお子様連れで訪れるのもおすすめだと思います。
<角川武蔵野ミュージアム>
企画展:「魚っとこ水族館 所沢はむかし海だった!? 」※会期延長!
会期:2022年8月6日(土)~2023年5月7日(日)※会期延長
時間:日〜木曜 10:00~18:00(最終入館 17:30)
金・土曜 10:00~21:00(最終入館 20:30)
休館日:毎月第1・第3・第5火曜日(祝日の場合は開館・翌日閉館)
住所:〒359-0023 埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3
アクセス:JR武蔵野線「東所沢」駅から徒歩約10分
URL:https://kadcul.com/
※変更の可能性がありますので、足をお運びの際は事前にご確認ください。