買い取りさせて頂いた原清の花瓶
買取した品 | |
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座卓 丸椅子 花瓶 皿 茶碗 ぐい呑 陶磁器 | |
買取方法 | 出張買取 |
お住まい | 東京都中央区日本橋 |
買取参考価格 | 480,000円 |
※買い取り価格は当日の価格であり、その価格を保証するものではありませんので予め御了承下さい。
※状態や付属品の有無、買い取り方法などによって価格が変動いたします。
スタッフからのコメント
遺品整理にともないお声掛け頂きました。今回買取りさせて頂いたお品物は大物は座卓に始まり丸椅子、そしてお父様が集めていらしたと言う作家物陶磁器のコレクションです。ある程度はご家族で分けたそうですがそれでも人間国宝など有名作家の作品を含め30点ほどお譲り頂きました。その中でも写真の原清の花瓶は重要無形文化財(人間国宝)に認定されている鉄釉でサイズもそこそこある逸品でした(^-^)
原清(はら・きよし)は重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された陶芸家であり、陶芸愛好家や美術関係者からは鉄釉陶器のもつ魅力を世に示したことでその名が知られています。その他にも、中国・宋元時代以降に焼造された焼き物である鈞窯をはじめとして灰釉、粉引、黄瀬戸、翠磁、井戸茶碗、淡翠磁などさまざまな技法を用いて優品を製作しています。
原が手掛ける鉄釉陶器には、黒と褐色の2色が用いられた文様がよく見受けられます。その文様が出来上がる原理としては、黒い釉薬をかけた後にラテックスと呼ばれる生ゴムの液で文様を伏せて、その上に褐色の釉薬をかけ、生ゴムを剥がすという手順を踏むことによって絵柄が浮かび上がるという仕組みです。この方法を使って納得する作品を完成させるためには焼成温度や釉薬の性質を熟知していなければならないので、非常に高度かつ経験を要する技術が必要とされます。
原清は1936年に島根県簸川ひかわ郡荘原村(現在の斐川ひかわ町)に生を受けます。生家は農家だったようで、代々陶芸を営む家系ではありませんでした。しかし、幼少時代を過ごした出雲は北前船の寄港地であり、江戸時代から有田や唐津の陶磁器が集まってくる場所であったため、さまざまな陶片(陶器の破片)は日常の中に当たり前に存在していたようです。原は、それらの古い陶片の美しさに心惹かれ、陶芸に憧れをもつようになったといいます。
高等学校では農業科に進学した原ですが、陶芸家への道を志し退学。職業補導所(職業能力開発校)を経て、19歳で京都に窯を構える鉄釉陶器の人間国宝・石黒宗麿に弟子入りします。1年後には同じく鉄釉陶器で人間国宝に認定された清水卯一に陶芸を学びました。鉄釉陶器の大家である2人のもとで学んだことは、原の陶芸家としての人生に非常に大きな影響を及ぼしたといえるでしょう。
1958年、22歳で一流の伝統工芸作品が集結する日本伝統工芸展にて初入選を果たした原は、1965年に東京都世田谷区に工房を築きます。1969年には、同展で日本工芸会会長賞を受賞。美しい青い釉薬の地肌に、紫紅色の斑文が特徴の鈞窯で注目を集めました。1980年になると埼玉県寄居町に住まいを移し、鉄釉の技法を極めながら原独特の世界観を発揮していきます。
そして2005年には、鉄釉陶器の技法で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されることとなりました。原の作品には身近な草花や馬などの生き物をモチーフとした文様が多数存在します。描かれる植物や動物は素朴であたたかみにあふれ、奥深い味わいがあります。大胆にのびのびと絵付けからは、作者の生きとし生けるものへの愛情が伝わってくるようでもあります。
お声掛け頂きありがとう御座いました!