平野富山 木彫大黒

　平野富山（敬吉）の大黒様をモチーフにした木彫彫刻の参考買取価格です。同手の作品に比べるとやや小ぶりですが全体に鮮やかで緻密な彩色が施されております。付属品無し、ややシミが見られますがカケなど損傷の無い状態での参考買取価格で、同じ平野富山の作品でもモチーフやサイズ、状態、共箱の有無などにより査定額は大きく変わります。

平野富山

　平野富山は、静岡県清水市出身の彫刻家です。日本画と同じ技法で木彫に彩色を施す「彩色木彫」の名匠として知られています。生涯、歌舞伎や能などの日本の伝統文化、神話・歴史のほか、人間の身体美などのテーマに長く向き合い、日本彫刻の可能性を追求しました。美術団体展にも塑像（粘土や石膏などでつくられる像のこと）を多く出品し、なめらかな肉体と象徴的概念を暗示する表現力は高く評価され、日展評議員、日彫会会員、太平洋美術会会員も務めました。

　平野富山は、明治44年3月7日に静岡県清水市に生まれ、彫刻家を目指すため昭和3年に18歳で単身上京します。その後、人形師の池野哲仙、彫刻家である斎藤素巌に師事。昭和17年の新人芸術家の登竜門ともいえる新文展にて「女」で初入選を果たします。この頃より昭和50年初頭まで「敬吉」の号を用いて制作を行いました。続けて昭和31年に日本最大の総合美術展覧会である日本美術展覧会（日展）に「若人」で特選、同34年に開かれた第2回新日展に出品した「裸婦」で再び特選。さらに同37年に開かれた日本で最も歴史のある美術団体・太平洋美術会主催の第58回太平洋展では「習作T」「現」が初出品ながら文部大臣賞を受賞しました。

　富山の生涯で最も重要な仕事の１つは、昭和33年に近代日本彫刻の巨匠、平櫛田中の「鏡獅子」の彩色を手掛けたことといえるでしょう。これは歌舞伎舞踊の有名な演目「春興鏡獅子」をモチーフとした作品といわれています。富山はその彩色技術の高さから、平櫛田中作品の9割の彩色を担当しました。その他、富山の代表作としては、インド神話・仏教の神「吉祥天」、七福神の「福禄寿」「恵比寿尊像」、「聖徳太子二歳像」などがあります。

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